2017(平成29)年2月





 教育委員や学校運営協議会の委員をしているため、教育関係の研修会に出席する機会が増えました。先日は「いじめ対策についての研修会」に参加。「いじめ」についての定義、対策等、とても大切な知識を学ばせていただく充実した時間となりました。
 でも、でも・・、思ったのです。確かに、私たちが「いじめ」について学ぶことは大切なことではありますが、あくまで知識。結局「いじめ」を見つけ、対応するのは現場の先生でしょう。ならば、私たちがすべきことは、現場の先生が子どもたちと触れ合う時間をしっかり確保すること、先生が最高のパフォーマンスを発揮できる環境を作ることではないかと。

 「いじめ」はなくなりません。なぜなら、大人たちがやっているから。TVでは「あんな奴は、虐められても仕方がない」と、理由があれば「いじめ」はOKということが日常的に行われる。政治家の発言もしかり。昨年の東京都知事選では、ヘイトスピーチを行った団体の元代表に、11万4千もの人が投票している。子どもたちが「いじめ」しないはずがありません。
 そして、その尻ぬぐいを全て任せ、責任までも押し付ける。これでは先生も、たまったものではないでしょう。


 私は立場上、様々なところで挨拶をさせられるのですが、特に保護者の方々の前では必ずこう言うようにしています。

 「近頃は、文句を言えば世の中良くなると思っている人が多いですが、
 文句を言って先生のパフォーマンスが上がるのなら、いくらでも言って下さい。
 でも、文句を言って、先生の足を引っ張るのなら、
 子どもたちのためにはならないでしょう!」と。

 そしたら、先生方からとても感謝されるのです。でも、これ位のことで感謝される世の中って、おかしいと思いませんか?それだけ先生方は、日々クレーム対応に追われ、事務に追われ、時にはマスコミに叩かれる。こんな状況下で、先生のパフォーマンスが上がるはずがありません。
 今、先生方に最も必要なのは、「有難うございます。」「信頼しています。」「一緒に頑張りましょう!」という言葉ではないでしょうか。


           


 先生たちがイキイキとしなければ、子どもたちがイキイキとするはずがありません。アンケートも大事、研修も大事。でも、今一番大切なことは、先生たちの環境整備のはずです。そうでなければ、「いじめ」の発見も対応もできるはずがありません。

 それは、どこの職場でもそうでしょう。現場のパフォーマンスを上げる為にと、文句や厭味を言い、罵声を浴びせ、金で釣るという貧困な発想をしている企業を、ブラックと言うのだと思うのです。ブラック社会、ブラック国家になってはいないか。足を止めて、見つめ直さなくてはなりません。■


※    今の文科大臣は、先生の忙しさについて環境整備を考えておられるようです。でも、現場の先生から伺うのは、「忙しいのは仕方がない。子どもたちと触れ合う時間が削られるような忙しさは勘弁してほしい」という声です。時間の問題ではなく、モチベーションの問題だということも、ご考慮いただけたらと思っています。