2015(平成27)年4月 

※ PTA特集の第九弾は、入学式の会長挨拶です。二年間勤めた会長の挨拶も、これでひとまず終了となります。最後なので少し長くなりましたが、あえて行かせてもらいました。ほえさせて、いただきました。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

新入生の皆さん、御入学おめでとうございます。そしてご家族の皆様、本日は本当におめでとうございます。また、来賓の皆様、お忙しいところご出席いただき、有難うございます。親師会を代表して、お祝いの言葉を申し上げます。



 先日、こんな話を聞きました。ある人が高速道路で車の運転をしていたら、お腹が痛くなったと言うのです。トイレはないかと焦っていたら、サービスエリアがありました。早速車を停めて、慌ててトイレに行くと最初の個室は人が入っていたので、二つ目の個室に駆け込みました。

 「やれやれ良かった〜」とベルトをはずそうとした瞬間、隣の個室から「やぁ!元気?」と声がしたのです。普通は、トイレで隣の個室の見ず知らずの人から話しかけられる事はありませんよね。その方もビックリしながら、「いや、元気だけど・・・」と言うと、「それで今、何してるの?」「いや、キミと一緒だよ。ウン○しようとしてるんだ・・」
 すると、隣はシーンとして、「おい、後でかけ直すよ。隣に変な奴がいる。」
 隣の人は、携帯電話で電話していたというのです。

 

でも、考えてみて下さい。どっちが変かという話です。確かに、トイレの個室は自分の世界です。でも、板一枚向こうには誰かがいて、でかい声で「やぁ!元気?」という声に思わず反応する人を、変呼ばわりする。どちらが変かという話でしょう?
  自分の思いだけで世界を決めつけて、周りの人の思いや立場を考えることもしない。表面だけしか見ずに、深くものを考えない。
  しかし、そんな感覚が今の時代、どんどん広がっているのではないですか。
  こんな生き方は、周りに対して失礼だというだけではなく、実は自分の生き方を貶めることにもなるのです。





  この前、私は本当に腹が立ったことがありました。
  これは、ある福祉を専門にする女子大生の文章を読んでいたのですが、その子が友だちに、「どうして、障害を持つ人やお年寄りが、積極的に町に出ていけるような世の中にならないのかね。」というと、友だちがこう言ったというのです。

「お年寄りも障害を持つ人も、我がままだ。人に迷惑ばっかりかけて」と。
彼女はビックリして、

「あなた、何て失礼なことを言うの。第一、私も、あなたもいつ事故に巻き込まれて障害を持つ身になるか、わからないじゃない。
それに私たち、必ず歳をとるのよ。そうなったら、あなたどうするの。」と聞くと、
「そんなことになったら、私は自殺する。人に迷惑かけたくないから。」と言ったというのです。

この話を聞いて、本当に腹が立ちました。だってそうでしょう。
今まで、どれだけ人に迷惑をかけて、ここまで育てられてきたことには全く触れずに、自分の見えている範囲だけで、「あの人は迷惑をかけている」と人を切り捨て、
自分がそうなったら、「私、自殺する。人に迷惑かけたくないから。」と自分を切り捨てる。なんと、傲慢なことか。

第一、歳をとらないと、わからないことだってあります。
病気になって、初めてわかる大切なこともあります。
私なんか、障害を持つ人たちの体験から、自分のちっぽけな考え方をひっくり返されて、大切なことを教えてもらったなぁということは、たくさんあります。

自分の見えている範囲だけで世界を決めつける傲慢な生き方は、簡単に人を切り捨て、簡単に自分を切り捨てる人間になるというこです。


中学生になると、自転車通学を始める人もおられるでしょうが、自転車のタイヤの幅は約3センチです。でも、例えば湖の上に3センチ幅の橋がかかっていたら、走れますか?まず、走れません。歩くだけでも大変です。つまり、地面に接しているのは3センチかもしれませんが、3センチの道に連なる広々とした大地があるからこそ、私たちは安心して自転車に乗れるのです。

 それと同じで、私たちは一人で生きているわけではありません。目に見える人、接している人とだけで、生きているわけでもありません。目には見えないけれども、たくさんの人たちに支えられて、生かされているのです。

 人間が成長するとは、物事を深く受けとめることができるようになるということです。自分の思いの向こうに、誰かの思いがあることを知る。感じる。想像する。思いやる。そういうことができるようになることを成長というのです。中学生は大人への入り口ですから、先生方の指導を受けながら、勉強やクラブ活動、朝練を通して自分の世界を広げ、心を耕し成長して欲しいと思います。




ご家族の皆さま、本日はおめでとうございます。私のような者が大変おこがましいことなのですが、親師会の会長を二年間経験した中で、教えられたことを、ここで少しお話させて下さい。

 三隅ではあまり聞きませんが、近頃は先生にクレームをつける親が増えているようです。テレビの影響か、言ったもの勝ちという傾向にもあるようです。でも、本当に子どもの事を考えるのであれば、先生に最高のパフォーマンスを発揮してもらわなくてはならないでしょう。文句を言って先生のパフォーマンスが上がるのなら良いですが、今や文句を言うことで、先生の足を引っ張ったり、先生が萎縮することの方が多いようです。それでは、親の自己満足にはなっても、子どもたちのためにはならないでしょう。

 とは言っても、やっぱり言いたいことも出てきますよね。そんな時には、ぜひ私たち親師会役員にご相談していただきたいのです。三隅中ではPTAを、親と師の会と書いて、親師会と言います。クッションになる者がいることで、お互いの事情も理解でき、配慮もできます。冷静にもなれます。親師会を上手に利用して下さい。そのためにも、ぜひ親師会行事に参加していただければと思います。



 長くなりましたが、最後に改めて、新入生の皆さんのこれからの大きな成長に期待して、祝辞とさせていただきます。