2009(平成21)年4月号 



 いよいよ春がやってきました。同時に、継職法要も近づいてまいりました。準備のあわただしさもさることながら、皆さんの温かい想いに接する場が多くて感激しっぱなしです。
 皆さんにお願いしなくてはならない状況にあるということは、自分一人の力で生きているわけではない、いかにたくさんの人に支えられて生きているかを教えられる場にあるということでもあります。

  
 さて、春といえば、私にとっては何といっても「花粉症」です。この時期になると、目はショボショボ、鼻水は垂れるし、クシャミは続き、大変な思いをしなくてはなりません。
  
 この「花粉症」の原因だといわれるものの一つに、雑菌が減ったからだという説があるようです。人間の身体には、免疫細胞というものがあるとのこと。この免疫細胞が雑菌を退治するわけですが、雑菌が少なくなると働き場がなくなってしまいます。そこで、違う退治すべき相手を探し始め、本来は害のない杉の花粉を敵と間違えて攻撃する。間違いではありますが、その副作用で涙や鼻水が出て、クシャミが出て、身体に悪影響を及ぼす。こんな説があるそうです。
 乳幼児期の環境が清潔すぎるとアレルギー疾患にかかる率が高くなるという報告もあるようですから、嫌われ者の雑菌も大切な存在なのだと考えさせられます。
そう考えると、自分に都合の悪い人や、嫌いな人、考えの違う人って、大切な存在なのではないかと思うようになりました。そんな人を排除しないことで、相手の違った面も見えてくる、自分の考え方の小ささに気づかされる。安易に排除してしまうと、益々考え方が狭い、違う意見を
れられない、頑固で傲慢な人間になるような気がします。
 勿論、僕は聖人君子ではありませんから、誰とも仲良くすることなんてことはとてもできませんが、もう少し向き合い方を考えてもよさそうです。


 親鸞聖人は、「遠く通ずるにそれ四海の内みな兄弟とするなり」とおっしゃっておられます。「遠く通ずるに」ということですから、自分の目先の好き、嫌い、違いではなく、もっと大きな阿弥陀如来のまなざしを通して見ることが大切だと言われるのでしょう。そんなものの見方が、豊かさや深さを生み出すのだと教えられるのです。

 まだまだ、涙や鼻水、クシャミは止まりそうにありませんが、そんな中からでも、教えられることはたくさんありそうです。■