2017(平成29)年4月号 




 今年から、「お念仏称えましょうキャンペーン」を始めました。浄土真宗では、お念仏を口に出して称えることを、とても大切にします。
 最初は、意味がわからなくても良いのです。とにかく口に出して、称えて下さい。本人の自覚うんぬん別にして、実はそれが、「仏さまのお仕事をする」ことになるのです。


 2004年にノーベル平和賞を受賞された、ケニアのマータイさんという方が、「MOTTAINAI(もったいない)」という言葉を世界中に広めて下さいました。日本には、こんなに素晴らしい心と、それを表す言葉があるのだと。
 何年か前には、きゃりーぱみゅぱみゅという歌手が、「もったいないから、もったいないから」と歌っていました。ところが、物にあふれた現代社会に生きる私たちは、この「もったいない」という言葉を忘れがちです。

でももし、「これ、要らないから」と捨てようとした横を、小さな子どもが「もったいないから、もったいないから」ときゃりーぱみゅぱみゅの歌をうたいながら通ったら、どうでしょう。捨てることへのをためらいや、罪悪感が起こりませんか?
 子どもは、ただ歌っているだけです。意味もわかっていません。しかし、わからないまま歌ったのだとしても、「もったいない」の心を知っている人が聞いた時に、その心が届き、その人を動かすということがあるのです。意味がわからないままに言った一言が、周りの人たちに、気づきを与え、目覚めを与えていくことが。


            


 南無阿弥陀仏のお念仏も同様です。
意味がわからないまま称えたとしても、そのお念仏を聞くことで、大切な心を思い出し、気づき、目覚めさせられ、導かれる人が出てくる。これって、凄いことだと思いませんか。人を目覚めさせ、導くなんて、なかなかできることではありませんよ。
 でも、お念仏を称えるだけで、それが実現する。これを、「仏さまのお仕事」というのです。それだけ、お念仏に込められたはたらきが凄いということなのですが・・・。


 だからこそ、口に出してお念仏を称えることが大切なのです。そしてこの私自身も、私が称えたお念仏を聞きながら、そこに込められた阿弥陀様の心と出遇い、味わうことが大切なのです。


 浄土真宗は、お念仏を称えることがすべての始まりであり、お念仏に込められた心を聞くことで成就する教えなのです。すぐに大きな声ではできないかもしれませんが、少しずつでも声に出してお念仏申しましょう!■