2012(平成24)年1月   





この言葉を少し変えると
「幸せな環境にいるから感謝しているのではない。
 感謝できる心を持っているから幸せなんだ」
と言えるでしょうか。いくら幸せな環境にいても、それを当たり前だと思ったり満足することを知らなかったら、感謝することはできませんし幸せだと感じることもできないでしょう。
 仏教には「ウザイガキ」という言葉があります。モチロン近頃の若者の言葉ではありません。漢字で書くと「有財餓鬼」。たくさんのものに囲まれながら「まだ欲しい、まだ欲しい」と求めている有り様を言います。考えてみれば、今の時代は「有財餓鬼の時代」と言えるのではないでしょうか。使いきれないほどのお金を持ちながら、それでも「まだ欲しい」とマネーゲームに興じるのが今の時代のお金持ちの常識だそうです。そのおかげで私たち庶民は、大きく振り回されているのですが。バブル崩壊やリーマンショックなど、その最たるものでしょう。どうも、求める方向が違っているような気がします。

 波北彰真さんの言葉に、
「よろこびの真ん中にいても
 よろこびに気づく心の眼を持たなければ、
 よろこびに出あえないままに終わるでしょう」
というものがあります。いくら幸せな環境にいても、その幸せに気づくことができなかったら、幸せとは言えないでしょう。しかしどんな環境にあろうと、自分を支えて下さる世界に手を合わせることができるならば、幸せを感じとることができるのではないでしょうか。そんな心の眼を育てて下さるのが仏法だと、教えられるのです。■