2012(平成24)年 2月   




 心臓は、私が気づいていようが、忘れていようが、寝ている間でさえも、働きづめに働いてくれています。その心臓に病気を抱えておられる方は、大変なご苦労でしょう。
  しかし考えてみれば、働きづめに働いてくれている心臓に、感謝したことなどあったでしょうか。私たちが生きていくには必要不可欠な、空気にも、水にも、太陽にも、大地にも、感謝しているかと言われると、頭ではわかっているのですが・・・。

 実は、本当に感謝しなくてはならない世界とは、一番近くにあって、一番気づきにくいものなのかもしれません。そんな世界に気づき、感謝することができる生き方を、心豊かな生き方と言うのではないでしょうか。多くの恩恵の中で生かされているにもかかわらず、気づくこともなく、当たり前のようにふんぞり返っている姿は、心貧しい生き方です。

    生かされて 生きてきた     生かされて 生きている
     生かされて 生きてゆこうと   手を合わす 南無阿弥陀仏

                                    (『生きる』中川静村)                               

阿弥陀如来という仏様は、私が手を合わせるときも、手を合わせていないときも、忘れているときも、寝ているときも、常に常に、私を思い、寄り添って下さる仏様だと教えられます。共に喜び、慈しみ、私の有りようを悲しんで下さるのだと。
 その願いがこめられた、南無阿弥陀仏のお念仏をよりどころにする生き方は、生かされて生きていこうと手を合わす、尊い生き方を生み出してきたのです。

 今私たちが生きている、現代社会に最も必要な生き方が、ここにあるように思います。■