…この面白さ、伝わりました?書き起こすと、なかなか伝わりませんよね。でも、今の時代を確かに表しているようで、どうしても紹介したかったのです。
「夢も持たず個性もない、そんな社会の歯車のような人生は嫌だ」という時代です。事実、そんな言葉が溢れています。でも、見えないところで支えている人がいなければ、社会は成り立ちません。そんな人たちを「あんな生き方、ヘドが出る。死んだ方がマシだ」「毎日同じことの繰り返しで、人生幸せか?」と貶し、蔑んでいく。自分の汚れを押しつけておいて。
そんな今の時代を象徴するような彼にも、本物の言葉は響くのです。
「みんな同じ制服着とるわ!でも汚れ方は一人ひとり全然違う!それが個性や!このシミひとつひとつが勲章になんねん!」
ところが心に響く本物の言葉も、結局彼にとっては、自分の歌の材料として消費されるモノでしかありませんでした。だから臆面もなく、メモを取り、利用しようとする。当事者として、その言葉を聞こうとしない。自分の生き方そのものは、問われない。思い上がりへの気づきも、申し訳なさや恥ずかしさも感じることもなく。
このコントは、お二人の芸人人生の中で、最もウケたネタなのだそうです。それは、単なる面白さだけではなく、私たちの社会を的確に指摘していることに、共感した人が多かったからではないでしょうか。(コントを書き起こし、解説までしてしまうと、ますます興醒めですよね。「さらば青春の光」のお二人には、深くお詫びを申し上げます)。
榎本栄一さんは、阿弥陀如来のはたらきに出遇い、自らの思い上がりに気づかされた方でした。その気づきを通し、足元を改めて問い直した時に、この私を支え、生かしてくださる世界との、感謝と感動の出遇いが開かれたのです。
誰からも気づかれず、誰にも評価されない。にもかかわらず、大切なことを担ってくださっている方は、たくさんおられるのでしょう。その尊さに気づくことができた時、私の人生の足元がまた確かになるだと教えられるのです。■
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