2014(平成26)年5月   






最近は「自然からの恵みをいただく」という言葉を聞かなくなりました。海の魚は海産資源、山の木は森林資源と呼び方も変わりましたから、もはや自然を人間の所有物としてしか見ることができなくなっているのかもしれません。

仏道修行における基本は、「正見」ありのままに見るということです。それは、偏らない見方、一面ですべてを判断しない態度です。資源というのは、あくまでも経済用語。それは一面をあらわしてはいるのでしょうが、すべてをあらわす言葉ではありません。

しかし、恵みをいただいているという敬いや謙虚さを忘れた態度では、想定外の事故は何度も起こるでしょう。コントロールできるほど、自然は甘いものではないということは、あの大震災で思い知らされたのではなかったでしょうか。目先の経済も大切なことでありますが、厳粛な事実から目を逸らすことは、あまりにも傲慢です。

ロケットも原発も、どんな科学の最先端であっても、すべては自然の恵みの中にしかないのです。これほど人間が傲慢になった時代は今までなかったのではないかと、自戒を込めて思うのです。■