2016(平成28)年11月   





 何だかんだで、忙しい日々を送っています。いや、本当に忙しいのでしょうか。ただ気忙しいだけなのかもしれません。


そんな私の生き方を、言い当てられるような言葉と出遇いました。『大無量寿経』に「然るに世人、薄俗にして、共に不急の事を争う」とあるのです。「世人」とは、世の中に生きる私たちという意味です。「薄俗」とは、薄っぺらなこと。そして「不急の事」とは、急がなくても良い事という意味だそうです。つまり、この世に生きる私たちは、急がなくても良い事を我先に争いながら、気がつけば、飛び上がって喜ぶことも、涙を流して悲しむことも、心を震わせて感動することもなく、ただ薄っぺらに生きていると言われているのです。


私は、この言葉に出遇ったとき、ドキッとしました。二千年以上も前に書かれたお経に、現代社会に生きる私の姿をズバリ言い当てたような言葉が書かれているのですから。

 考えてみれば、私たちは何を求め、何に急いで生きているのでしょうか。様々な欲望が刺激される世の中で、急がなくて良いものばかりを追い求め、本当に求めるべきものを見失っているのかもしれません。欲しいものは沢山あっても、本当に必要なものはそう多くはないのだと教えられるのです。

 


「忙」という漢字は、立心偏に「亡」、つまり「心を亡くす」と書きます。「亡」という字の下に「心」をつけると「忘」という字になります。心を亡くし、大切なことを忘れた生き方になってはいないか。立ち止まり、自分の人生において本当に求めるべきものは何なのかを、阿弥陀様と相談しながら考えてみようと思います。■