昨年を振り返ってみると「年が明ければ忘れちゃおう」ではすまないような事件がたくさん起こりました。戦争、テロ、殺人事件。自然の猛威による被害。新潟では、今なお復興もままならない状況のようです。そして悲しいことに、佐世保では小六児童による同級生殺人事件が起こりました。一昨年は、同じく佐世保で中一の少年による幼児殺人事件が起きています。このとき当時の防災担当大臣は「加害者の親は、市中引き回しの上打ち首獄門にすればいい」という発言をされました。同世代の子どもを持つ親の立場として被害者遺族の心情を考えると、その思いもわからないではありません。でも、でも、僕は被害者の親になる可能性もあるのですが、同時に加害者の親にもなる可能性があるのです。だから「オレの子育てはこれでいいのだろうか」と悩んだり、口ごもったりしている。「打ち首獄門」で「一件落着」という悪者退治で済むような問題ではないのです。

 「子どもらを被害者に 加害者にもせずに
  この街で暮らすため まず何をすべきだろう」『タガタメ』Mr.Children)

 ミスチルの桜井くんはこう歌ってくれました。被害者遺族の悲しみなどわかるはずもない私たちが、安易な被害者気分で悪者を探すよりも「私もこんな世の中を作っている一人だ」という加害者意識に立つことこそが、今本当に求められている。この歌詞を噛みしめながら、そう思うのです。今年もよろしくお願いします。■