「満点以外は0点だ」と、算数のテスト中、1問でもつまづくと、すでに書いた解答もすべて消してしまう少年がいるそうです。その彼に先生が「学校で朝、友達に『おはよう』といったら無視された。どうする?」と聞くと、「嫌だ。もう二度と声をかけない。」そこで先生は、「でも、もしかしたら聞こえなかっただけってことないかい?もう一回だけ声をかけてごらんよ」と励まします − 。

 私の生活を振り返ると、その少年のように○・×、勝ち・負け、敵・見方、善・悪などと、あまりにも極端に分けすぎているような気がします。0か100かではなく、その間には、48もあれば73もある。世の中は、もっと複雑で、だからこそ豊かなのでしょう。簡単に決めつけたり諦めたりせずに、悩んだり、葛藤したり。その中から、見落としがちな喜びや悲しみ、感動と出遇いたいものです。

 昨年は、長女の誕生という出遇いや、秀見の祖母をはじめとする、親しい人たちとの別れがありました。今年はどんな一年になるのやら。深く喜び、深く悲しむことのできる豊かな一年になればと思います。今年もよろしくお願いします。■