一昨年末に父が往生し、喪失感と慌ただしさで、あっという間に過ぎた一年でした。今も遺品整理をしながら様々なことを思い出し、父と出会い直しています。ただ、父は記録魔だったので、膨大な資料が山積みで…。まだまだ時間はかかりそうだと、頭を抱えてもいます。そんな資料の山から、祖父のものも出てきました。祖父は長年社会福祉に貢献し、県の役職も務めてきた人です。山口放送から表彰され、副賞の欧州旅行にも招待されました。海外旅行など夢のような時代。親戚や門徒さんがお祝いに集まり大騒ぎした記憶が、当時五歳の私にも残っています。祖父の資料には、欧州からの絵葉書が何枚もありました。見ると宛名には、すべて孫の私の名前が。私は祖父にとても可愛がられたそうですが、私には「厳しくて怖い」というイメージしかありません。でも、絵葉書から祖父の想いが伝わってきて、心にグッとくるものがありました。同時に、今までこの想いに気づけなかったことを、とても申し訳なく思ったのです。人は顔を突き合わせていても、共に暮らしていても、出会っているとは限りません。そして別れを突きつけられて、改めて出会い直すこともあります。父との別れを通してそれを痛感すると共に、今回祖父とも出会い直せたことで、人生がまた一つ豊かなものになった気がします。出会いをもっと大切にせねば。そんなことを思う今日この頃です。今年もよろしくお願い致します。■