2021(令和3)年4月


 

❏球春到来! コロナ禍の中、いよいよプロ野球が開幕しました。ファンの一人として、私もウキウキしています。❏ところで「安仁屋算」という言葉をご存知でしょうか。初の沖縄出身プロ野球選手として広島・阪神で活躍され、現在はカープOB会長・野球解説者の安仁屋宗八さんという方がおられます。この安仁屋さんが2011年シーズン前にカープの展望を解説した際、「このピッチャーは〇勝する」「彼も△勝する」と予想したところ、全部合わせて101勝という現実離れした数字になりました。期待を込めた数字ではありますが、これはあまりにもポジティブ過ぎると大ウケし (ちなみにこのシーズン、カープは60勝。5位でした)、以来安仁屋さんの予想は「安仁屋算」と呼ばれ、毎年シーズン前の風物詩としてファンに愛されるようになったのです。❏いくらカープがここ最近強くなったとはいえ、現実はそう甘くありません。しかしこれがウケているのは、「期待したい」 「夢を見たい」というファン心理に響くものだからでしょう。本当に、よくわかります。❏しかし考えてみると、今の時代はお店や学校など、私たちの生活を取り巻く環境に対する期待値が、高くなりすぎているのではないでしょうか。「お客さまは神さまだ」と言わんばかりに、「これくらいやって当たり前」と過剰なサービスを求めているような気がします。求める立場のうちは良いのかもしれませんが、その期待や要求は巡り巡って、いずれ働く自分に向けられるのです。ストレス社会というのは、こうやって出来上がっていくのでしょう。❏「安仁屋算」は、予想が外れるのが当たり前。「そうなれば、いいけどねぇ」という遊び心にあふれています。今の時代に必要なのは、そんな遊び心なのかもしれません。反省を込めて思います。■






 
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