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森達也さんは、元々テレビディレクター。後に、ドキュメンタリー映画の監督として、数々の話題作を送り出し、作家としても活躍されています。二〇二四年には、初の劇映画『福田村事件』が、日本アカデミー賞作品賞にノミネートされました。
森達也作品の魅力を一言で語るなら、私はカメラの置く位置(視点)のユニークさにあると思います。カメラは置く位置によって、まったく違う景色を映し出します。それと同じく私たちも、立ち位置によって、世界の見え方が変わります。ちょうど、桃太郎からと、鬼からでは見える景色が違うように。トランプ支持者とそうではない人、イスラエル側とガザ側では、見える世界がまったく違うように。
森さんの視点はユニークです。私たちのこれまでの枠組みを揺さぶられ、気づきが与えられます。私が見ている世界がすべてではないことを。世界はもっと豊かだし、人はもっと優しいことを。そして人は、優しいままで残酷になれることを。
人間を、私たちのものの見方を、森さんの視点を通して、問い直してみたい。その営みは、人間の弱さや愚かさを、悲しさや切なさを深く見つめた親鸞聖人のまなざしに触れると共に、そんな私たちをどこまでも救わんとはたらいてくださる阿弥陀さまの願いに触れる一助になるのでは。そんな住職の思いがあるのです。■
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