「逆上せる」と書いて、さて何と読むでしょう。答えは「のぼせる」です。意味は、@頭に血が上って、ぼうっとなる。A興奮して、理性を失う。逆上する。B夢中になる。C思い上がる。ということですが、近頃日本で「宗教」と言えば、まさしく「逆上せる」もの、夢中になり、理性を失い、周りが見えなくなるものというイメージで捉えられているのではないでしょうか。
何事についても、夢中になるということはよいのですが、それで周りが見えなくなるといけません。お酒や賭け事に逆上せるのも困りものですが、もっと困るのは「自分が正しい」という思い込みです。宗教に限らず、イデオロギーも、志も、投資も、どんな取り組みでも、自分の選んだ道が正しいという思いに逆上せると、心を頑なにし、聞く耳を持たず、周りの事情も考えず、時には「大義のためには、人を殺してもかまわない」という方向にさえ、行きかねません。「正」という字は「一回止まる」と書くのですから、それだけ自分をふり返る視点が大切なのだということなのでしょう。
|