今月の言葉を見て、私が最初に思い出したのは、『西遊記』の孫悟空とお釈迦様のお話です。
乱暴狼藉をはたらく孫悟空に、お釈迦様は言われます。「私の手のひらから飛び出すことができれば、お前の望む通りにしてあげよう。」悟空は「バカにするな!」と筋斗雲に飛び乗り、世界の端を目指します。ここまで来たら大丈夫だろうと思ったその先に、雲の間から立っている五本の柱が見えてきました。「これが世界の行き止まりだな。」来た証拠にと柱に名前を書き、お釈迦様のもとへ帰ってきた悟空。しかしお釈迦様の指を見ると、悟空の名前が書いてありました。結局悟空は、手のひらの上で飛び回っていただけだったというお話です。
こう聞くと、「み手の上」とは「手のひらの上で、もてあそばれている」という悪いイメージにつながってしまうのかもしれません。私たちは、手のひらから飛び出すことが「自由」であり、「自立」であると思っているのではないでしょうか。自分の力だけで立つことを、誰に依存することなく生きることを「自立」といい、誰の干渉も受けずに、自分の思いだけで生きることを「自由」だと。
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