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2025(令和7)年4月 | |||
浄土真宗では、仏法を聞くとは「南無阿弥陀仏のおいわれを聞くということだ」と、教えられます。「おいわれ」って、わかります?「いわれ」という言葉に「お」をつけて、「おいわれ」です。 「いわれ」とは、由緒、由来のこと。今に至るまでのいきさつということです。また浄土真宗では、基本的に阿弥陀さまのはたらきに対して、うやまいの心をもって「お」をつけますから、「南無阿弥陀仏のおいわれ」とは、なぜ阿弥陀さまが南無阿弥陀仏のお念仏を称えなさいと言われたのか、なぜ親鸞聖人はお念仏を私たちにすすめられたのか。その、今に至るまでのいきさつ、由来を深く、聞きたずねていく。それが仏法を聞くということなのだと教えられるのです。 では、その「おいわれ」の中身とは何か。それは、迷いを迷いと気づかずに、迷いを深めているこの私を、阿弥陀さまは心配し、願い、はたらきかけてくださっている。そのお心とはたらきが、お念仏に込められて、今この私に届けられている。つまり、南無阿弥陀仏というお念仏は、誰のために用意されたのか。それは外でもない、この私のためであったと気づいていく。それほどまでに私は、阿弥陀さまから大切に思われているんだと目覚めていく。つまり「南無阿弥陀仏のおいわれを聞く」ということは、言い換えれば「私のいわれ」を聞くことなのではなかろうか。私は、このように味わっているのです。 ところが近頃は「南無阿弥陀仏のおいわれ」どころか、私の身の回りの様々な「いわれ」や「根っこ」を、深く味わうことのない世の中になってしまいました。
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今年、アメリカのプロ野球メジャーリーグに、佐々木朗希選手が挑戦することになりました。高校時代から騒がれた、才能溢れるピッチャーです。大谷翔平選手、山本由伸選手と同じロサンゼルスドジャースに入団が決まりましたので、今からワクワクしておられる方も多いのではないでしょうか。 でも私は、この状況を純粋に喜べないのです。なぜなら昨年、佐々木選手が日本プロ野球選手会を退会していたことが報じられたからです。実は山本選手も、日本にいた時点で退会していたことが明らかになりました。それを聞いて、正直二人にガッカリしたのです。 選手会とは、一般企業における「労働組合」です。選手たちの労働環境を改善させるために、尽力してきました。現在の会澤翼会長(広島カープ)は、この件に関して「寂しいですよね」と嘆息し、「選手会は、今の現役選手だけでやってきたわけではない。/選手会ってこういうところなんだよ、というのを伝えきれなかった」と答えました。 確かに現在の選手会は、国内でプレーを希望している選手の労働環境改善に力を注いでいます。メジャー志向の選手にとって、在籍することにメリットがあると思えないのかもしれません。しかし、選手会の「いわれ」をたずねてみれば、見方はまったく変わります。 日本のプロ野球選手がアメリカに挑戦できるように、制度を整えたのは選手会でした。約三十年前に野茂英雄投手が、球団と揉めに揉めてアメリカに渡った時とは、大きく変わりました。昔は、アメリカに挑戦していく選手を応援する球団幹部なんていなかったのですから。「どうして、自分の球団の選手を手放さなくてはならないのか。損ではないか」という感覚が当たり前。そこに野茂選手が風穴を開け、その後選手会が経営者側と交渉し、FAやポスティングというメジャーリーグへ挑戦できるシステムを整えて、今があるのです。 選手会の森忠仁事務局長は、「彼らが脱退するってことは、やはり選手会に入っている意味がないと判断されたということだと思うので。會澤会長や先代の会長、選手たちには申し訳ないと思っています」と、選手会の歴史、いわれを伝えきれなかったことを悔やみました。それを受けて、會澤会長はこう語ったそうです。 「入会しているメリットも必要ですけど、/10年後、20年後のプロ野球選手のために僕らはやっている。そういう発想を会員が持てるような選手会にしたいと思っています。だから、やっぱり今回のことは寂しいです」と。長年のプロ野球ファンである私も、とても寂しい思いになりました。(参考『SportsGraphic NumberWeb』「選手会に入っている意味がないと判断された」佐々木朗希ら脱退…會澤翼会長が“本当に伝えたかったこと” 氏原英明) |
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