昨年の流行語大賞は、お笑い芸人スギちゃんの「ワイルドだろぉ」が選ばれました。しかし、流行語大賞も一時と比べて盛り上がりに欠け、大賞をとった芸人の多くが一発屋になっていることを、スギちゃんもかなり気にしているとか。一年をふり返るものとして流行語も良いのですが、私たちにとって大切な言葉が失われていることにも、注意を払うべきではないかと思う今日この頃です。
例えば「お互いさま」なんて、テレビではほとんど聞かれなくなりました。責任は取り合うものだったのが、今では押し付け合うものになっています。「貸し」か「借り」かでしかものが見れなくなったからなのか、「ご恩」「恵み」「いただく」という言葉の意味がきちんと伝わっていないような気もします。「縁の下の力持ち」なんて、もう死語に近いでしょう。
人気マンガ『宇宙兄弟』には、食堂でご飯を食べている女性が、一人なのにちゃんと「ごちそうさま」と言っている姿を主人公が目撃し、好意をいだくシーンが描かれていました。それだけ珍しい光景になったということなのでしょうか。考えてみれば私も、外で一人でという時には言い忘れていることが多いのかもしれません。
言葉が失われるということは、その概念も失われるということです。せっかく流行語大賞も盛り上がりに欠けてきたところですから、今年は自分がどんな言葉を使っていて、どんな言葉を使い忘れているのかを、見つめ直してみようと思います。何を大切にして生きているのかが、知らされるのかもしれません。今年もよろしくお願いします。■
|