2018(平成30)年6月


 

❏春の彼岸会法要で、極楽寺に来られた映画監督・森達也さんが、NHKの『放送記念日特集 フェイクニュースとどう向き合うか』という番組に出演されていました。フェイクニュースとは嘘のニュース、つまりデマです。インターネット等の普及で、取材も裏付けもない情報が影響力を持ち、政治的・経済的だけではなく、健康被害などの身近な生活においても、様々な事件を引き起こしています。❏さて番組では、ネット上にはびこるフェイクニュースの出所を探すという取材を行いました。調べてみると、多くのニュースは何故か東欧のマケドニアの小さな村から発信されていたのです。❏記事には広告が掲載されており、見られる度に収入が増えます。経済的に厳しい状況にあるマケドニアでは、収入を得るために嘘のニュースの作り方を教える先生がいて、家族でどんな嘘がいいのかを相談し合うのだとか。その光景には、正直ゾッとしました。❏「アメリカ人はバカだ。こんなニュースにすぐに騙されて」と彼らは語ります。でも、それは私たちも同じです。ワイドショーに煽られ、デマに振り回されてはいないでしょうか。落ち着いて、胸に手を当てて、考えてみる。少し立ち止まって、想像する。それだけで、世界の見え方は、まったく変わってくる。そう森達也さんは、教えてくださいました。❏同時にこの番組で、経済中心の時代の歪みも知らされた気がします。収入を得るために、人を騙すニュースを家族で相談する。そこに罪悪感の欠片もないのは、今や世界中で、みんながやっていることだから…なのかもしれません。やはり、少し立ち止まって、考える必要がありそうです。■
 




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