2021(令和3)年11月


 

❏ 全国的に緊急事態宣言が解除されましたが、まだまだ油断できない状況です。今月号が皆さんのお手元に届く時には、どうなっているのでしょうか。❏さて、外出が減ったこともあり、読書を満喫しています。お薦めは『弱さの研究』(向谷地生良 他)、『弱さのちから』(若松英輔)、『目が見えない人は世界をどう見ているのか』(伊藤亜紗)、『この国の不寛容の果てに』(雨宮処凛 編著)。あと、今頃になって遠藤周作の小説も読み込んでいます。実はこれらの本には、「弱さ」という共通するテーマがあります。近頃は、「強さ」ばかりを追い求める世の中になりましたが、私は「弱さ」と向き合い、そこにある輝きや豊かさを見い出す人たちに魅かれるのです。❏ 戦後の日本で、知的障害のある子どもたちの福祉と教育に一生を捧げられた糸賀一雄という方は、「この子らを世の光に」という言葉を残されています。「この子らに」ではなく、「この子らを」です。「この子らに」とした場合には、可哀想な子らに光を当ててあげようという見下した形になってしまいますが、「この子らを」という言葉には、【障害を持つこの子らの中にある、いのちの輝き、魅力、豊かさを見出すことができるほどに成長すれば、きっと心豊かな人間になれる。きっと豊かな社会になる】という信念が込められています。❏「強さ」はシンプルでわかりやすいですが、そればかりを追いかける時、小さな輝きは見落とされ、切り捨てられます。だから自分も切り捨てられぬようにと、強さを求め、弱さから目を背けている。それが私たちの生きている社会の有り様なのではないでしょうか。でもそのことで、生きづらさ、息苦しさを増しているように思います。弱さの中にこそ、本当の豊かさがある。そのことを、これらの本を通して教えられています。興味のある方は、如何でしょうか。多くの気づきをいただくことができます。■





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