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❑ 今年の夏は、入退院を繰り返していたので、厳しい暑さを感じる間もなく終わったような気がします。なにせ病院は、二十四時間空調が効いていますから。とはいえ、快適な生活をしていたわけではありません。薬を新しいものに変更したことで、副作用の吐き気が酷くなり、結構大変でした。病院では、食器やシーツ、トイレなど、至る所で消毒液が使われます。私の場合は、その消毒液の独特なにおいを嗅ぐと気持ち悪くなっちゃって。だから、病院の食事がとれず、売店の弁当ばかり食べていました。でも弁当はすぐに飽きるし、消毒のにおいは至る所にあり…。気を紛らせようとカープの試合を見ても、逆に具合が悪くなるようなゲームばかり。散々な夏でした。❏
そんな状況の慰めになったのが、作家・北方謙三の『大水滸伝』シリーズです。中国明時代に書かれた古典文学『水滸伝』(1973年に中村敦夫主演でドラマ化されましたね)を、大胆に再構築し、新たな命を吹き込んだこの作品。『水滸伝』全19巻、『楊令伝』全15巻、『岳飛伝』全17巻、合計51巻という大長編小説です(実はこの流れに『チンギス紀』17巻があって、その流れを受けて、最終章となる『森羅紀』の連載が始まっています)。一度読破してはいますが、登場人物も多いし、最初の方はどんなんだったかわからなくなったりして。常々、もう一度きちんと読み直したいと思っていたのですが、今この時しかない!と読み始めると、やっぱり面白くて。ツラい病院生活と、ツラいカープの状況を慰めてくれました。何より北方謙三は、人間の描き方が深いんですよね。一人の人間が持つ強さと弱さ、清らかさと醜さ。乱暴なふるまいの中にある、繊細な優しさ。大きな理想に生きる豪傑が、細やかなことに心乱され苦悩する姿が、描き込まれている。私はここに魅かれるのです。❏
どうやら来年、織田裕二、反町隆史の主演で、WOWWOWがドラマ化するようで。でも、林冲役が亀梨和也くんか。それはちょっと違うんじゃないかなぁと、病室で思ったりしている今日この頃です。■
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