2022(令和4)年3月



❏ 【おそれる】という言葉は、漢字で【恐れる】【怖れる】【畏れる】 等と表記されます。【恐れる】は「こわがる」「心配する」ということで、【怖れる】は「おじける」「びくびくする」の意味で使われます。それに対して【畏れる】は、「おそれ敬う」「おそれはばかる」という意味になります。❏【恐れ】や【怖れ】が広がると、不安が煽られ、差別やヒステリックな行動につながる。それを新型コロナの感染拡大の中で、私たちは目の当たりにしました。そして今度は、新種のオミクロン株による感染が拡がっています。新種は重症化する危険性が低いともいわれていますが、軽視するのは如何なものかと思います。専門家でも、わからないことが多いのですから。未知のものへの【畏れ】を失う時、人は傲慢になるのです。❏生物学者の五箇公一さんは、「元々ウィルスは野生動物の中にいて、常に変異を繰り返している。たまたまヒト型が生み出されても、動物の中で自然と淘汰されていく。そこに人間が近づくことで、ウィルスは新しい住処を得ることになる。そもそも今回の感染も、人間が自然に踏み込み過ぎて、関係が崩れたことによるのではないか。本来の住処と取り分をわきまえ、かつての緊張関係を取り戻さなくては、また同じことが繰り返される」と指摘しておられます。❏まさに自然に対する【畏れ】を失い、敬いを失ったことで傲慢になっている現代社会を言い当てられたようで考えさせられました。またそれは、宗教的なものへの【畏れ】を見失ったことも背景にあるのではないか。そんなことも思っています。■





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