2022(令和4)年4月



❏ ロシアのウクライナ侵攻が始まって、一か月が経ちました。無残にも破壊された街の映像を見ると、本当に胸が痛みます。細やかな営み、かけがえのない日常を、戦争は容赦なく奪っていきます。ウクライナの人々や私たちからは、平和を破壊する行為にしか見えないこの軍事行動を、ロシアのプーチン大統領は「平和維持活動だ」と主張しました。よくもまあ、そんなことが言えるものだと、呆れて言葉もあまりません。 ❏ しかし歴史を振り返ってみれば、どんな国も「平和のために」「防衛のために」と正義を主張して戦争を行ってきました。国だけではありません。理想を掲げ、美しい言葉を語りながら、残酷な行為を行った思想団体や宗教団体もありました。身近なところで言えば「教育」「愛情」という言葉で、虐待やハラスメントが行われることもあります。それは、嘘や詭弁で言っているわけではないのでしょう。正義や理想を高く掲げた時、それを邪魔する悪が現れる。自分が正義だと信じる思いが強いほど、躊躇いなく断罪できる。される側から見れば、それが理不尽で残酷なものだとしても。正義とは恐ろしいものなのだと、改めて思い知らされます。 ❏ 親鸞聖人は、生涯を通して悪の自覚に立ち続けられました。自らの悪を知るからこそ、内省が生まれ、他者の思いが見えてくる。そんな豊かさがあることを、私たちは知らなくてはなりません。■





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