2024(令和6)年6月


 

❑ GWに還暦の同窓会がありました。気づけば私も、いよいよ六十歳の大台。久しぶりの再会に楽しい時間を過ごしながら、「みんな、オジさんオバさんになったなぁ」と思いつつ、「あぁ、オレも同じように歳を重ねたんだ」と感慨深く味わっておりました。❑さて、長らく同窓会に出ていなかった同級生の、こんな言葉が印象に残っています。「私のことを覚えてくれているだろうかと心配していたけれど、覚えていてくれて嬉しかった!」。うんうん。その不安な気持ち、よくわかります。久しぶりって、緊張しますよね。そして、その後に続けた言葉が、更に印象的でした。「でも、私は何人か覚えていない人がいて、申し訳なかったです…」。うんうん。人のことを思う前に、まず自分はどうなのか。それを考えなくては、失礼なことになりかねませんよね。大切なことだと、私も肝に銘じた次第です。❑ ところで、今号の「6月の言葉」は文章もかなり長く、内容もヘビーなものになってしまいました。敬遠される方も多いのではと心配しています。ただ、池上彰さんたちの思いには共感しますし、何より私たちにとって他人事ではない問題だと思っているので、ついつい入れ込んで書いてしまった次第です。❑ 心療内科医の海原純子さんは、人にはヨコ型思考とタテ型思考があると言われています。ヨコ型思考とは、違う時代の、見知らぬ国の、知らない人々の話を聞いて、人間としての共通項を見つけ、今に生きる自分に当てはめて何かを感じ取る思考のこと。人のエピソードを、ヨコにスライドさせるように、自分へと置き換える考え方です。それに対してタテ型とは、人は人、自分は自分、今は今、昔は昔とタテ割りで考えること。そして近頃は、そんなタテ型思考の人が、増えているのだそうです。❑「人の振り見て我が振り直せ」「他山の石」など、他者のふるまいを通して、自分を振り返ることの大切さを教えられる言葉は、昔から数多くあります。それを口にしたり、聞いたりしていても、実際に生かすのは難しい…。せめて「まず自分はどうなのか」と、ヨコ型思考の習慣を身につけなければ。そんなことを考えている、還暦の私です。■  





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